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そばつゆのだしのとり方(つめ時間と節の量の違い)

2021年9月1日

「私の商売、そば屋でござる。おかめ、天ぷら、玉子とじ、おつゆじゃいつも苦労する」という都都逸にあるように、自分の打つそばと相性のよいつゆを作り、そして同じ味のつゆを提供していくことにそば職人は一生かけて考え続けるそうです。

そば打ちも重要ですが、そばつゆは最もその作り手の個性が出るところです。

自分でも整理しなおすために、藤村和夫さんの著書「そばしょくにんのこころえ」に掲載されているだしのつめ時間などに関係する部分をまとめてみました。

藤村和夫さん、そばしょくにんのこころえ
藤村和夫さん そばしょくにんのこころえ

つめ時間

老舗有名店のつめ時間など記載されているを内容表にしますと

 だし(亀節)つめ時間だし煮詰め率
有楽町 更科1斗(18ℓ)1㎏(5.5%)45分13.5ℓ
75%
藪 連雀町1斗(18ℓ)1.5㎏(8.3%)120分7.7ℓ43%
藪 並木1斗(18ℓ)1㎏(5.5%)
120分7.7ℓ43%
蓮玉庵1斗(18ℓ)0.75㎏(4.1%)30分12ℓ67%

家庭用に計算しなおすと

 だし(亀節)つめ時間だし煮詰め率
有楽町 更科2ℓ111g(5.5%)45分1.5ℓ
75%
藪 連雀町2ℓ166g(8.3%)120分0.86ℓ43%
藪 並木2ℓ111g(5.5%)
120分0.86ℓ43%
蓮玉庵2ℓ83g(4.1%)30分1.34ℓ67%

ちなみに使用するカツオ1.8kg以下は亀節、1.8kg以上は本節というそうです。

火加減

そばもん第1巻そば屋の天ぷら(後編)にだしの火加減について描かれています。引用であれば著作権上の問題がないということなのでアップしてみます。

鍋を地獄の釜のように蓋から蒸気が吹き出すくらい沸騰させる。濃い汁を取るには最初の5分が勝負とあります。

入れたら節同士が絡まないよう箸でかきまぜる。火が弱いと底で団子状に固まり節が湯に触れる面積が減少するので、強火にして湯の中を回転させるとあります。

だしの濃度

そばつゆを自分で作りはじめた頃、だしが濃ければよりおいしくなるのではないかと思い通常より多くかつおぶしを入れたのですが、ただ苦くなっただけでした。だしには適切な濃度があるということが分かりました。

濃いだしにはたくさんかえしが入るのでその分塩分が入ることになります。毎日食べてもあきない、ほどよい濃さが私の好みです。

「かないまる」さんという方のそばのHPをとても参考にさせていただいており、下にレシピを引用させていただきます。

「だしとりの水の量と火力の関係は、本枯れ節の場合、節の10倍前後に煮詰めるのが目安です。そのためにはスタートの湯の量を節の15倍程度にします。たとえば100グラムの節からだしをとる場合、スタートが1.5リットル、煮詰め後が1リットルという具合です。」

 かつお節つめ時間だし煮詰め率
かないまるさん1.5ℓ100g40~50分1ℓ 67%

「かないまる」さんの煮詰め率は蓮玉庵さんと同じで、つめ時間は更科に近いですね。だしの量は更科と藪の中間ですからかなり濃厚なだしだと思います。

私のレシピと比較しますと

 かつお節などつめ時間だし煮詰め率
2.0ℓ本枯100g
宗田10g
サバ5g
日高昆布10g
計125g
40分1.7ℓ 85%
かないまるさん2.0ℓ133g40~50分1.34ℓ
67%

改めて比較すると私のだしは煮詰め率75%までもっと煮詰めたほうが良いかもしれません。令和元年度末のだしとりの時に調整してみたいと思います。

まとめ

火加減が違い、つめあがりの量が違い、鰹節の厚さが違うと、できるだしの性格もまるっきり違ってきます。するとそれに付随してかえしの入る量、砂糖の量、味醂の量も違ってきます。

そば打ちはプロレベルまで上達するとそばの麺の味の差が少なくなってくるでしょうが、そばつゆについては作る人でまったく違う個性のつゆとなります。

自分のそばの味に合ったつゆを作れるように試行錯誤していきます。