直売所に出すため「そば」の栄養成分表示をつくる
両親が令和元年の11月頃に「来年の3月までに直売所に出す加工品に栄養成分表示をしなければならなくなった。大変面倒で難しいらしい。」と騒いでいたのでよく状況を聞いてみると、新しい法律が施行されすべての加工品に栄養成分表示をしなければならないということでした。
栄養成分表示を業者に頼むと一品あたり2~3万もとられるというので、どんな作業をするのかJAの講習会の資料などを読んでみると食品成分表をもとに材料の成分を計算するだけのようです。無駄なお金を払うのも馬鹿らしいので自分でやってみることにしました。
食品表示法による栄養成分表示の義務化について
食品の表示について定めた新しい法律「食品表示法」が平成27年4月1日に施行され、原則として、消費者向けに 予め包装された全ての加工食品と添加物 (業務用加工食品は除く)に、栄養成分表示が義務化されました。食品表示基準への移行経過措置期間は、加工食品と添加物は5年間(平成32年3月31日まで) とJAの資料に記載されてました。
『七訂 食品成分表2019』のデータをもとに成分を計算していくようです。
栄養成分表示の表示方法
どんな表示をすればいいのか消費者庁のHPを調べてみたところ、 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物及び食塩相当量の基本5項目を最低限下の順番で表示しなければならないようです(栄養成分表示の枠下に「この表示値は、目安です」と表記)。注意点などを簡単な表にまとめてみました。
1 | 表示場所 | 見やすい場所 |
2 | 文字の大きさ | 8ポイント以上 |
3 | 食品の単位 | 可食部分の100g若しくは100ml又は1食分 |
4 | 最小表示の位 (数字の丸め方) | 小数第1位まで表示する場合には小数第2位)を四捨五入 |
食品単位を1食分とする場合は、その量(g、ml又は個数等)を併せて記載します。この場合の1食分の量は、通常人が当該食品を1回に摂取する量として、事業者等が定めた量となるようです。実際の商品の栄養成分表をみると熱量は1の位、その他は小数点第1位が多いです。
そば一食分は何gか、そばつゆ一食分は何㏄か
消費者庁によるとそば一食分は、事業者が定めた量とあります。ネットで調べたところ平均的なところでは、そば一食分は100~120g、そばつゆ一食分は60㏄ぐらいでした。100gのそばですと私の感覚では少し物足りない量です。
私が直売所に出しているそばは、一パック300gで二人分を考えています。ちなみにつゆは一食分60~90㏄です。『七訂 食品成分表2019』は可食部100gあたりの成分で記載されているので、計算しやすいようにそば一食分を100gとします。
そば粉と小麦粉の食品成分表(可食部100g当たり)
『七訂 食品成分表2019』から「そば粉」、「小麦粉」などそばの材料を、基本5項目と水分のみ抜粋してみます。可食部100g当たりの成分で熱量以外はすべてg単位です。
水分 | 熱量(㎉) | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | |
---|---|---|---|---|---|---|
そば粉(全層粉) | 13.5 | 361 | 12.0 | 3.1 | 69.6 | 0.0 |
そば粉(中層粉) | 13.5 | 360 | 10.2 | 2.7 | 71.6 | 0.0 |
そば粉(内層粉) | 14.0 | 359 | 6.0 | 1.6 | 77.6 | 0.0 |
そば粉(表層粉) | 13.0 | 358 | 15.0 | 3.6 | 65.1 | 0.0 |
小麦粉(強力粉1等) | 14.5 | 365 | 11.8 | 1.5 | 71.7 | 0.0 |
小麦粉(中力粉1等) | 14.0 | 367 | 9.0 | 1.6 | 75.1 | 0.0 |
生そば | 33 | 274 | 9.8 | 1.9 | 54.5 | 0.0 |
ゆでそば | 68 | 132 | 4.8 | 1.0 | 26.0 | 0.0 |
生そば欄の備考には「原材料配合割合:小麦粉65、そば粉35」と書いてあります。30%以上そば粉が入っていれば、「そば」と食品名で表示できます。
熱量(カロリー)ですが、消化吸収率などに違いがあるため食品ごとに実験や計算をして実際の熱量(カロリー)近づくように数値を決めたり、また成分表の単純な積算だったりしているようです。最新版の日本食品標準成分表からの積算し、表示値の根拠を説明できる資料を保存しておけば法令違反になりません。ちなみに食品成分表の2015版と2019版でそばの材料の成分の変化はありませんでした。
まとめ
そばの食品成分表(外三)の場合
外三というのはそば粉と小麦粉の割合が10:3という意味です。加水率50%なので、そば粉1000g、小麦粉300g、熱湯650gを使います(合計1950g)。ですからそば100gの中には、そば粉51g(1000/1950)、小麦粉16g(300/1950)、水分33g(650/1950)となります。
熱量(㎉) | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | |
---|---|---|---|---|---|
そば粉(全層粉)51g | 184 | 6.1 | 1.5 | 35.4 | 0.0 |
小麦粉(中力粉1等)16g | 58 | 1.4 | 0.2 | 12.0 | 0.0 |
合計 | 242 | 7.5 | 1.7 | 47.4 | 0.0 |
そばの食品成分表(ニ八)の場合
二八というのはそば粉と小麦粉の割合が10:2という意味です(厳密には容量比)。加水率50%なので、そば粉800g、小麦粉200g、熱湯500gを使います(合計1500g)。ですから、そば100gの中には、そば粉53g(800/1500)、小麦粉13g(200/1500)、水分34g(500/1500)となります。
熱量(㎉) | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | |
---|---|---|---|---|---|
そば粉(全層粉)53g | 191 | 6.4 | 1.6 | 36.9 | 0.0 |
小麦粉(中力粉1等)13g | 48 | 1.2 | 0.2 | 9.8 | 0.0 |
合計 | 239 | 7.6 | 1.8 | 46.7 | 0.0 |
そばの食品成分表(十割)の場合
そば粉1000gと熱湯580gとなります(合計1580g)。ですから、そば100gのなかにはそば粉63g(1000/1580)、水分36g(580/1580)となります。
熱量(㎉) | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | |
---|---|---|---|---|---|
そば粉(全層粉)63g | 227 | 7.5 | 1.9 | 43.8 | 0.0 |
合計 | 227 | 7.5 | 1.9 | 43.8 | 0.0 |
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