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かえしに使う無添加醤油の選び方

2022年11月16日

そばつゆのベースとなる「かえし」は、「醤油」と「味醂」と「砂糖」で作られます。いたってシンプルなため材料選びを間違うとボタンの掛け違いのように最後まで答えが出ない可能性があります。まずは商品力を高めるため化学調味料など無添加の醤油を選びます。

醤油の原料

江戸時代の元禄十年(1697年)に刊行された『本朝食鑑』によると「醤油は近世家々で造っている」とあります。 現代では自家製味噌を作っている方は聞いたことがありますが、自家製醤油を作っている方は日本にどのくらいいるのでしょうか。

キッコーマンのHPによると、「醤油の原料は今も昔も大豆、小麦、食塩、麹菌」とあります。江戸時代の医学書『本朝食鑑』によると「香ばしく炒った大麦を挽いて」とあります。 江戸時代に大麦から小麦に材料が変化したようです。

麦の種類には、小麦、六条大麦、二条大麦、はだか麦などがあります。二条大麦は明治時代以後にヨーロッパよりビールの原料にするため導入されたもので、ビール麦とも呼ばれています。六条大麦は麦茶など、はだか麦が味噌などの原料になります。

醤油の種類

キッコーマンのHPでは醤油の種類と生産量は次のとおりとです。

①こいくち(濃口醤油) 約8割

②うすくち(淡口醤油) 約13%

➂たまり(溜り醤油) 2%弱

④さいしこみ(再仕込醤油) 約1%

⑤しろ(白醤油) 1%弱

この5種類の他にも次のような呼び名の醤油があります。

●だししょうゆ(しょうゆ加工品)※調味料加工
●なましょうゆ(生醤油)※醸造物で使用する「生(なま)」という言葉は「微生物を濾過した」という意味
●きじょうゆ(生醤油)※食品添加物が入っていないもの

淡口醤油とは

藤村和夫さんの本『そばしょくにんのこころえ』の中で 「淡口醤油は、寛文六年(1666年)に播磨の龍野で浅く炒った小麦を使用し大豆も蒸す時に圧力がかからないようにして色を付けないで仕上げた醤油」とあります。 淡口を濃口醤油にブレンドすることで、新蕎麦の風味をより感じられるつゆを作れるかも。

淡口醤油発祥の地にある老舗といえばヒガシマル醤油さん。四百年以上も京都や大阪の食を支えてきたすごい会社ですね。 そして「ヒガシマルうどんスープ」のCMの声は、1990年に「さよなら人類」でデビューした「たま」の知久寿焼さんなんですね。印象に残る声です。「うどんかぞえうた」※ヒガシマル醤油「うどんスープ」CM(東日本版)

醤油の製法

醤油は製法により、本醸造・混合醸造・混合の3つに分類されます。 アミノ酸液を入れないものが本醸造、諸味に入れて熟成させるものが混合醸造、搾った醤油とブレンドさせるのが混合です。 混合・混合醸造は、九州や日本海側の地域でよく見られます。本醸造・混合・混合醸造/醤油の製法による3分類

まとめ:選んだ無添加醤油

1 濃口醤油

蕎麦の醤油は原材料が国産で大豆、小麦、食塩のみと決めたので、今回は井上古式醤油を選びました。 今まで使ってきたヒゲタ醤油の本膳はとても良いのですが脱脂加工大豆が入っているので一旦お休みです。ヒゲタ醤油によると丸大豆ではなく脱脂加工大豆でなければこの味が出せなかったとのこと。

井上古式しょうゆ
井上古式しょうゆ

2 淡口醤油

ヒガシマル特選醤油の原材料  大豆(国産)、食塩(国内製造)、小麦(国産)  米(国産)、米発酵調味料(米(国産)) 米、米発酵調味料は甘酒のことなので安心して使えます。

ヒガシマル特選丸大豆うすくち醤油
ヒガシマル特選丸大豆うすくち醤油

醤油完成の説話

藤村和夫さんの本「そばしょくにんのこころえ」の中で醤油完成の説話について 建長六年に宋から帰国した覚心という僧侶が、紀州の湯浅の西方寺で「径山寺味噌(きんざんじみそ)」を作りはじめ、ある時誤って水を入れ過ぎたのが怪我の功名となって「たまり醤油」の原型のようなものができた とあります。

醤油のマスキング効果と最適ブレンド比率について

ツイッターで「うすくち、しろ醤油で作った色の薄い「もりつゆ」が定番の地域もあるのでしょうか。」とつぶやいたところ、「わた@醤油マニア」さんより次のアドバイスをいただきました。

わた@醤油マニアさん:蕎麦つゆは濃口をベースに配合組み立てるとよいです。淡口もブレンド必要ですが、蕎麦(麺)の風味の強さに合わせて比率を決めていきましょう。出汁も研究必要ですが、これほど楽しい研究はありませんね♪

カネチョク(私):ヒゲタの「本膳」、「そば膳」を特に考えずに使っています。問題なくおいしいのですが醤油の選び方を改めて調べてみようと思っています。 今の私の知識では濃口と淡口の違いは、色と塩分濃度の違い程度の認識です。 「淡口もブレンドが必要」とのことですが、どのような効果があるのでしょうか?

わた@醤油マニアさん:本膳、そば膳、いい醤油をお使いですね!濃口と淡口は仰るとおり色と塩分の違いが大きな違いです。醤油の色は大豆由来ですが、色が濃いほど醤油感が強くなり、臭みの強い食品の臭みを消すマスキング効果が高くなります。反面、蕎麦の麺や出汁の風味なども、マスキングしてしまってる可能性があります。ヒガシマルなどの旨味の強い淡口をブレンドする事で、蕎麦の風味や香りがもっと引き出せる可能性があるので、試して見る価値があると思います。十割そばか、二八かなど、麺や出汁によって最適ブレンドの比率は異なります。

小麦栽培と農薬

醤油の原料となる小麦の栽培についてソバの裏作で小麦を作ったことがある、ちっちき亭さんと電話で話しました。 有害な小麦のカビ病を防ぐためには農薬で消毒しないと難しいとのこと。 昔の日本でごく身近に栽培されていた無農薬の麦はどのように栽培されていたのでしょうか。 #ソバ #農業 #無農薬