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そば打ちの「湯ねり」、「水ねり」どちらがよいか

2020年1月30日

そば打ちで加水する際「湯ねり」、「水ねり」の方法があります。製粉方法(石臼、ロール)や含有水分量などが違うそば粉を一概に比較はできませんが、どちらのやり方がよいのでしょうか。

前提条件として、「そばは熱に弱いためできるだけ熱を加えないようにしたい」ということと「麺体で食すためには熱を加えなければならない」ということがあります。そばは熱に弱いので玄そば(殻付きの実)を機械で乾燥する際は、急速に熱風乾燥させるよりは天日でゆっくり乾燥させるほうが良いと一般的には言われます。また、熱に弱いけれど結局ゆでないと食べれません。

そば打ちの「湯ねり」、「水ねり」比較

そばをくっつける成分は、水温60~70度を境にして高い場合は「でんぷん」、低い場合は「たんぱく質」が粘りのもととなります。ちなみに「グルテン」は小麦にある成分でそばにはありません。そば自体は「グルテンフリー」の食材ですが、小麦アレルギーの方はつなぎのない十割そばなら大丈夫ということになります。ただ、うどんとそばを出すそば屋では同じ釜でゆでている場合があるので注意が必要です。

 そば粉をつなげる成分等イメージ
熱湯でんぷん(糊化)あんかけ(片栗粉など熱湯に入れるとすぐ糊化する)
たんぱく質(グルテンなど)天ぷら(小麦粉を水でかき混ぜすぎるとグルテンが発生しずぎて良くない)

「熱湯」でも「水」でも粘りがでるということですが、そばの成分のうち約70%がでんぷん、約15%がたんぱく質となっており、ほとんどがでんぷんですので熱湯のほうが粘りがでます。熱湯でそば粉の一部を糊化してつなぎ、再度熱湯でゆでるということですので、「あんかけ」を冷ましてまた加熱するようなものです。食感、味、風味などが多少変わってきます。

水ねりをする場合、そば粉は高い吸水性があり強い粘りがでるのですが、保水力が乏しく時間がたつと切れやすいです。そのため、保水力がある小麦粉をつなぎとして入れ、その成分であるグルテンを利用して麺体を維持する方法が考えだされました。

湯ねりの適切な温度

「そばの成分に関する研究(第2報)」をよると、そば粉のでんぷんは約66度で糊化が始まり、約90度で最高粘度となります。熱湯で水回しをする際、冬場などは急速に粉が冷えすぐ30度程度まで下がってしまうため、きるだけ早く木鉢を終わらせたほうが適切ということになります。経験的にも少量で温かいうちに打った麺体のできは良いです。

「そば打ちで湯ねりした際の熱湯とそば粉の温度変化」のブログはこちらです。

「そばの成分に関する研究(第2報)」昭和37年8月28日受理 研究者(吉沢康雄、小林知枝)

そばでんぷんのアミログラムの特性
粘りを測定
そばデンプンのアミログラムの特性

水ねりの適切な温度

そばや小麦は、温度が60~70度以下であれば混ぜる水の水温が高いほど吸水が速く粘弾性がでやすくなりますが、温度が低いと吸水性が悪く硬くなりますので、冬などで0度近い冷水を使うのは適切でないということになります。そばの香りを損なわない程度の約30度の水温が適切なのではないかと推論できます。あくまでも推論なので今後そば打ちしながら検証していきます。

まとめ

「湯ねり」、「水ねり」どちらがいいのかを考えると、どのようなそばを打ちたいのかイメージしてそのために打ち方を変えていくようにしたほうがよいということになります。

例えば、直売所で商品として販売するために2日間は冷蔵庫で保存でき、ゆでの経験が少ない方でも切れにくい麺体にしたいのであれば、私は今のところ湯練りが適切と考えています。

また、そば打ち後すぐゆでられるお店や自宅などでは水ねりが適切と考えます。新鮮なそば粉の風味をできるだけ損なわないようにしたいなら水ねりがよいです。ただ水ねりでも水温30度くらいが適切なのかどうか今後実験してみます。

すぐゆでられない場合や麺体にするのが水ねりでは多少難しい場合などは、半湯ねりのアプローチもありだとおもいます。

農村地帯で「湯ねり」が多くみられる理由としては、打ち手に女性が多く力がなくても柔らかく打ちやすいからということもありますが、自分の経験からですと、冬の早朝などのそば打ちはものすごく寒いので、冷たいそば粉に冷たい水を入れる水回しはやりたくないです。熱湯を回し入れほんのり温かくなったそば粉をこねるならなんとかできます。農村地帯で湯ねりが主流になるのはよくわかります。